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  • 2017.08.26 Saturday
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    原住民パイワン族の村にステイ


     11月19日、月曜日。朝ランの後、頼さんと葉さんに佛光寺に連れて行ってもらう。そこで特別に、僧達と共に精進料理を頂いた。厳粛な空気の中頂いた食事は正に、食べる仕事だった。自分の味覚と対峙し、更に思考を広げていった。色んな人たちに支えられているんだなぁ。そしてこの時も、チベットの亡命者たちがヒマラヤ越えをしているのだろう。食後は日本語を話す葉さんの教え子でもあり、マレイシア人の尼さんに本殿に連れて行ってもらい、大仏の前で正式な祈り方を教わる。
     次に連れて行ってもらった所が古い教会だった。庭の木々には胡蝶蘭が宙に浮くように咲いていた。ここの地名が金萬、金持ち村みたいな名前だ。住んでいる人たちは客家族でキリスト教徒だ。
     最後に訪れた所が慈鳳宮だ。皆で正式にお祈りをした。葉さんは以前からトランス状態になることを知っていたが、今回、葉さんと丸山さんが、天の声と通じてしまったのだ。
     今夜も会長の許さんと、元会長の仁さんが隣町、高雄の海鮮料理屋に連れて行ってくれた。もうこれ以上食べられない、次に向かうは台湾足つぼマッサージである。皆、体を仰け反らしていた。
     11月20日、火曜日。朝ホテルを出る時に、許会長とペイギが見送りに来てくれた。最後の最後まで気を使ってもらい、嬉しいがぎりだ。その後、葉さん達の学園に挨拶をしに立ち寄った。皆は日本に帰国し、僕は山奥の原住民村に向かった。内容の濃い4泊5日に思う。

     台湾の登山は勝手に登れない。予定では、母と友達、竹ちゃん4人で北大武山3095m登山をするつもりだった。一人ではガイド代が高くなってしまうこともあったが、当のガイドが、マラソンで足を痛めてしまっていたのだからしかたがない。予定変更としたのだ。
     やはり山肌には2年前の巨大台風による多くの傷跡が残されていた。いまだに道路修復中だった。工事費は国が出していたが、働くのは地元の住民だった。実は考え方も、習慣も、言葉も違う原住民とは、大陸からやってきた来た中国人とは少し隔たりがあるのだ。
     僕が身を寄せる宿は霧台部落の民宿百合、標高700mに位置する。会長が予約をしてくれていた。石造りの家は主人の将興さんが建てた物で、奥さん包さんは民族衣装を仕立てている。村に着いて先ず驚くのは土でできた人形の多さだ。おふざけの領域だ。それをよくみると愛嬌があって、どれも可愛いのだ。小さい集落だが飽きない。産業はコーヒー豆である、裏山一面がコーヒー畑だった。
    そして猪料理、2泊3日、朝晩猪がでた。それも野生の猪はきつい獣臭が漂っていた。体が少しづつ獣になっていくような気がしていた。

     11月21日、水曜日。朝、500mのペットボトルの水を持ち、隣村の吉霧部落に向かって走り出した。猿が高い木の上から威嚇してくる。見たことのない蝶が乱舞していた。標高1000mを超えた。村人が崖を見つめていた。小さな石が転げ落ちてきた。すると今度は大きな岩が、大きな音を立て、大きく弾みながら落ちてきた。次に土砂がすべるように下ってきた。ただ、大自然の驚異を眺めていた。我に返り、この先へは進めないことを知り、元来た道を引き返すことにした。村人は留まったままだった。きっと孤立してしまった村の住人なのだろう。
     今度は谷を下り、大武部落を目指した。標高が300m、霧台から九十九降りで15kmの距離だ。帰りは谷沿いの道を下り、20km先の圭暮部落を今度は登り、谷川部落と神山部落を見学しながら霧台まで、70kmの行程を帰ってくるつもりだった。しかし大武部落には着いたものの、飲み水が底を付き、村の一部は破壊されたままで、人影がなかった。道が途絶え、圭暮部落には行けない。問題は飲み水がないことだ。民宿もあり、商店や小学校もあるはずだった。川の水は濁っていて飲むのは危険だ。
     人が歩いた、比較的新しい足跡が残っていた。辿っていくと吊り橋があった。坂を登ると大武部落の上村にでた。ここも人影がなかった。村を歩くと老婆がいた。水が欲しいとゼスチャーしてみたが、全く警戒されて隠れてしまった。更に進むと犬がいた。まだ誰かいるに違いない、声がかすかにする、いた。村長と書かれた家だった。訪ねると二人の男が現れた。家主の村長で歐さんと、森林警備長の陳さんだった。水500mを2本とパンを頂いた。助かった。日本の群馬県で仕事を仕事をしていたことがある陳さんが日本語が話せた。お互いの自己紹介をし、一曲歌うことになってしまった。困った、思いつかない、ネパールの代表的な歌、リッサムピーリーリーでごまかそうとしたら以外に盛り上がった。
     はるばる下ってきた九十九折れの道を、今度は延々と登って帰ることになった。大粒の汗を流しながら、ありがたい水をがぶがぶ飲み、パンをかじりながら暗くなる頃、民宿百合にたどり着いた。振り返って見た夕焼け雲が、心に残った。
     村は7時になると外の電気が消され、店が全て閉められてしまう。慌ててビールを買いに行く。店には83歳のおばあちゃんがビンロウを刻んでいた。日本語教育を受けていたから綺麗な日本語だった。いい事もあったが辛いことも沢山あったようだ。ビールを飲みながら当時を語ってくれた。そして夫の形見の衣装を着させてもらった。
     戻ると、談話室にはお客さんがいた。牧師さんだった。村人も数人、僕を見に来たらしい。パイワン語で話しているが、何を言っているのかさっぱりわからない。再び猪肉が出てきた。頑張って美味そうに食べる僕を見て嬉しそうだった。お腹を壊さないだろうか心配だ。




     11月21日、水曜日。将興さんが千葉学園までトラックで送ってくれることになった。神山部落で朝食することになった。ここにも日本語を話す老人がいた。窓の外をにはヤシの木と集落が見渡せた。日本が統治していた時代は、見渡す限りの水田が広がり、働かされていたことを話してくれた。たまたま買い物に来たお婆ちゃんも頷いていていた。「マランヌガ」、ありがとう。



     11月22日、木曜日。頼さんが、美味いお茶を飲みに行こうという。どうやら友達の家みたいだ。陳正林さんが評判のお茶を入れてくれる人だ。頼さんの同級生だ。彼が外でお茶を入れると、外から次々とお客が増えてきた。きちんと時間を計り、静かに待つ皆。1杯目、2杯目、味が変わっていく。3杯目が最も美味いらしい。6杯まで飲める。和んできて会話が進んでくる。その中に気になる僧がいた。やはりそうだ、チベットから亡命してきたラマ僧だった。僕が今年、二度に渡りダライラマと縁あって見かけた、その時の写真を見せたらとても喜んでくれた。名前は丹増燃灯と書く。現在はお茶の販売をしている。陳さんは信用の置ける僧から茶葉を買っていたのだ。いろいろ話、これからもチベットのために祈っていて欲しいと言われた。
     陳さんはテニスができる。明日コートが取れたらプライベートレッスンを頼まれた。
     夕食は頼さんと夜市にあるホルモンの店に行った。大満喫な台湾、屏東だった。

     11月23日、金曜日。園児達にマラソンの講義、それから走った。陳さんとテニスは叶わなかったが、きっといつかできるだろう。台湾と絆がどんどん深まっていく。

    北大武山


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